私設私書箱の新規開業はお勧めできない理由

私設私書箱の新規開業はお勧めできない理由

「私設私書箱」の開業をお考えですか?

もし今、あなた様が私設私書箱業の開業を検討されているのであれば、この記事を良くお読みになって、考え直す事をお勧め致します。

私設私書箱のナワバリを荒らされる事を恐れている訳ではありません。

私設私書箱業は、簡単な仕事のように誤解されがちですが、意外と運営難易度が高く、継続が難しい業種です。

統計データはありませんが、短期間で廃業する私設私書箱業者はかなりの数に上ると思われます。

弊社は2013年から当私設私書箱サービスを運営しておりますが、他社の私設私書箱をお使いになっていたお客様が、当私設私書箱に「転入」されてくるケースは珍しくありません。

「今まで使っていた私設私書箱と急に連絡が取れなくなった」

「今まで契約していた私設私書箱業者がつぶれた」

そんなお話を頻繁に伺います。

中には、当私設私書箱を解約して他社へ乗り換えたものの、当私設私書箱へ戻ってこられる方もいます。

なぜ、そんなに私設私書箱業者がつぶれるのでしょうか。

それは、私設私書箱の運営は手間とコストがかかる割に、収益を出すのが難しいからです。

実は私設私書箱業者が担う仕事は、郵便局が行っている業務のミニチュア版のようなもので、郵便物や個人情報の緻密な管理が求められます。

日本の郵便を担う日本郵便は、世界でトップクラスの信頼性があります。

海外では郵便物が配送途中で紛失したとか、配達員が盗んだとか、雑な扱いで破損した、等という事が多々あります。

ですが、日本の郵便局でそのようなインシデントは稀です。

私を含め、日本人はそれが当たり前だと思ってしまいがちですが、日本の郵便の信頼性は、郵便局員達の真摯な仕事への取組みと、プロ意識の上に成立しているものです。

私書箱は元々、郵便局のサービスで現在も日本郵便がサービスを提供していますが、現在は非常に影の薄いサービスになっています。

恐らく、民営化した郵便局にとって私書箱サービスは、収益性がほとんど無い割に、管理に手間がかかり、保管スペースを占有する為、積極的に利用を勧めるメリットが無いのでしょう。

私設私書箱は、そのサービスを日本郵便以外の民間の業者が提供しているものです。

ここまでで、薄々お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、私設私書箱業と言うビジネスは、郵便局並みの信頼性が当然のように求められ、占有スペースの確保も継続的に必要で、管理に手間がかかり、人手も要ります。

集客する為には広告費もかなりの額がかかります。

新規参入をお考えの方は、このような私設私書箱業で収益を出し続ける自信がありますか。

収益を出し続けなければ、継続出来なくなり、お客様を投げ出す結果になってしまいます。

私設私書箱のお客様は、長いスパンの利用を前提とされるケースも多いので、気軽に投げ出す事は許されません。

以前、ある方からこのような事を尋ねられました。

「月額550円?!なぜ、そんなに安いんですか?」

私はその方にこう答えました。

「企業努力です。」

その方は私の答えを冗談だと思われたのか、大笑いされていました。

ですが、これは冗談ではありません。

恐らくメジャーな私設私書箱の中で当社は最安値です。

この「月額550円」を約10年、値上げせずに維持して来ました。

お客様の中には、限られた予算の中でやりくりしなければならない事情で、当社の私設私書箱を選んで下さった方もいるようです。

そのようなお客様の為にも、当私設私書箱の月額は値上げしてはならない、と言う思いがありました。

ITの活用や、効率化など様々な工夫を凝らし、極限までコストカットをして、品質は下げずにこの価格を維持しています。

これが簡単なビジネスだと思われる方は参入されると良いでしょう。